エンゼルギアシナリオ「大審問の前に」

シナリオ作者:すがはら
ゲーム作者:井上純弌、F.E.A.R.
発売元:(株)エンターブレイン
プレイヤーの人数:3人〜5人
プレイ時間:キャラメイクを除いて2〜4時間程度

■ストーリー
 ヤシマの帝都等に3発のミサイルが着弾し、戦争が始まった翌日。PCたちは極秘裏に開発された実戦配備前の潜水艦に載り、合衆国軍の前線基地があるテニアン島へ向かうように命じられる。潜水艦には秘密兵器“N式”が搭載されている。
 N式には人が乗り込む構造になっている。そしてその搭乗員である少女、真田千鶴は天使化直前の天使核保有者であった。テニアン島目前で、PC達はN式の正体が“天使核融合爆弾”であることを聞かされる。そして千鶴が、その起爆装置であることを。
 合衆国軍の天使たちが、千鶴の天使核に反応し襲い掛かる。
 PC達は、天使核爆弾の使用について決断を迫られる。

■今回予告
 遠い街に3発のミサイルが落ちて、僕の国で戦争が始まった。

 「なお三体の天使がラッパを吹こうとしている」
 ヤシマを守るため、そして大切なモノを守るため、最後の希望を載せて艦は旅立つ。

 「究極においては人々を幸福にし、最後には人々に平和と安らぎを与える目的で、
 人類の運命という建物を作ると仮定してごらん」

 大切なモノを守ること。それが戦争の理由。

 「ただそのためには、ちっぽけな子供の償われぬ涙の上に
 建物の土台を据えねばならないとしたら、
 お前はそういう条件で建築家になることを承諾するだろうか」

 戦争を始めたのは、大切なモノを守るため。
 そのための犠牲は許されるものなのだろうか。

 エンゼルギア 天使大戦RPG
 「大審問の前に」

 大切なモノを守るため、飛びたてシュネルギア!


■キャラクター作成
 推奨クラスはハンドアウトを参照のこと。人数が少ない場合は、番号の若いものから優先せよ。

▼コネクションの決定
 PC間のダーザインは、PC1→PC2→PC3→PC4→PC5→PC1という順番で取得させること。
 なお、PC1・PC2・PC5はG3(統一帝国)、PC3・PC4はヤシマ海軍にそれぞれ所属していることになる。

▼ハンドアウト
PC1
ダーザイン:千鶴からの興味
クイックスタート:ギアドライバー/シューター
フルスクラッチ:ギアドライバー
推奨ナビゲーター:アクシア(ナビゲーター修正は任意に決定してよい)
軍令:「アクシア小隊長指揮の下、潜水艦に乗り込め」
 「シュネルギアごと南太平洋の島へ行く」。キミが聞いた今回の任務は、とても奇妙なものだった。任務の詳細が知らされないことはよくあるが、今回はとびきり不思議な任務だ。キミが潜水艦の傍らでそんなことを考えていると、ふとしたことで潜水艦に乗り込む少女と目が合った。白衣の女性に引っ張られながらも、彼女はキミをじっとみつめていた。

PC2
ダーザイン:アクシアからの信頼
クイックスタート:機械化兵
フルスクラッチ:機械化兵
軍令:「アクシアG3大尉を補佐し、彼女の任務遂行に協力せよ」
 奇妙な任務だ。統一帝国の空軍パイロットであるキミが、アクシアや彼女の小隊のシュネルギアとともに、ヤシマの潜水艦に載って太平洋を南下することになろうとは。
 だが、アクシアはキミと一緒の任務に就けると喜んでいるようだ。

PC3
ダーザイン:千鶴からの興味
クイックスタート:管制官(副長)
フルスクラッチ:管制官(副長)
軍令:「PC4指揮下の潜水艦に乗り込め」
 キミが艦の最終チェックをしていたときだった。後部甲板に搭載されたシュネルギアその他の兵器……そして“N式”。そのN式の傍らに“彼女”はいた。ダブダブの白い服で全身を覆い、同じくらい白い素肌は顔ぐらいしか見えない。彼女に話しかけようとしたキミを、ハル博士がとめた。そして彼女を、ハル博士は連れて行ってしまった。連れて行かれる際、かすかに振り向いた“彼女”……一体あの娘はなんだったのか。

PC4
ダーザイン:ハルからの隔意
クイックスタート:指揮官(艦長)
フルスクラッチ:指揮官(艦長)
軍令:「伊藤ハル博士および新型兵器“N式”をマーシャル諸島内テニアン島近海まで輸送せよ」
 キミの潜水艦に乗り込んできた伊藤ハル博士は、どことなく信用がならない。さらに言えば、彼女とともに搭載された新型兵器とやらも、なにやら得体が知れない。ハル博士も、潜水艦に特別に割り振られた個室に篭もりきりでほとんど出てこない。こんな奇妙な任務ははじめてだ。何やらおさまりの悪い気分を、キミは味わっていた。

PC5
ダーザイン:ハルからの支配
クイックスタート:完全機械化兵
フルスクラッチ:完全機械化兵
軍令:「アクシアG3大尉を補佐し、彼女の任務遂行に協力せよ」
 伊藤ハル博士。彼女との関係は、キミの最初の記憶−−キミが完全機械化兵として目覚めたときから続いている。キミの完全機械化兵手術を行ったのはハルだし、以降キミの体をメンテナンスしてくれているのもハルだ。恩に感じる必要はない。しかし、ハルに対してキミはどうしても頭があがらないのだった。

▼NPC・その他重要情報
○真田 千鶴(さなだ・ちづる)
 女性、14歳。
 天使核保有者。両親はテニアン島で死亡している。以後、ハルをはじめとするヴリル協会に育てられる。
 N式の弾頭にするため、天使化直前の状態を維持されている(ルール的には、アガペーが665)。そのための実験や治療により、腕には無数の注射の痕が残っている。

○伊藤 ハル(伊藤・はる)
 女性、30歳。
 ヴリル協会に属する研究者。千鶴の養親になっているが、千鶴のことは実験体としか思っていない。
 彼女の研究は「エーテルの性質とその制御について」。千鶴の体内エーテルを制御する薬を開発し、これによりN式の弾頭化を可能とした。なお彼女はヴリル協会の会員であるため、常に左手を緑色の手袋で隠している。実際は、左手は機械化手術により機械となっている。

○N式
 伊藤博士をはじめとするヴリル協会が開発した天使核融合爆弾。楕円形で、前半分に人が乗り込む形状となっている。
 原理は水素爆弾と同じ。楕円のふたつある焦点の一つに天使核保有者が乗り、もう一つの焦点に高濃度に圧縮したエーテルをおく。天使核によるマスケンヴァル現象を起爆装置にして、そのエネルギーによりエーテルに天使核融合反応を起こさせることで、通常のマスケンヴァル現象を遥かに上回る破壊力を持たせることができる。
 この辺りの原理に興味がある人は「原子爆弾」あるいは「水素爆弾」でググってみてください(ぉぃ)。
 ちなみにN式のNは“核(Nuclear)”のNである。

○ヴリル協会の目的
 合衆国が総攻撃に転じた場合、ヤシマの滅亡は時間の問題である。このことはヴリル協会としては都合が悪く、できるだけこの戦争を長引かせたいと考えている。そのため、天使核融合爆弾の完成を合衆国にアピールし、“冷戦”に持ち込む事が狙いである。テニアン基地の破壊は単なる口実にすぎない。




▼オープニングフェイズ
●シーン0:広島の空
シーンプレイヤー:なし(マスターシーン)
◆解説
 1999年7月4日。天使大戦開戦日の描写である。
◆描写
 帝都。賑わう街並み。視点はやがて上空に移り、雲ひとつない梅雨の晴れ間の空を映す。
 そこに一本の細い飛行機雲。つぎの瞬間、その雲の先端がまばゆく輝く。
◆台詞
モノローグ。
「1999年、7月4日。
 遠い街に3発のミサイルが落ちて、僕の国で戦争が始まった。」
◆結末
 モノローグを告げたら、直ちにシーン1へ移ること。

●シーン1:月蝕
◆解説
 PC4のオープニング(他のPCは登場不可)。三笠港のドックで、ヴィヴリオおよび伊藤ハルと会話するシーン。なお、シーンの都合上ここでは実質2シーン存在することに注意。
◆描写1
 突然のミサイル攻撃から数時間後。蜂の巣をつついたような騒ぎの中、PC4は上司に呼び出される。PC4は緊急極秘任務として、G3と連携し、合衆国軍の前線基地があるマーシャル諸島内テニアン島近海まで秘密兵器“N式”を輸送することを命じられる(あくまで「輸送」が任務である。攻撃についてはG3が担当する)。
◆台詞:上司
「PC4、帝都への攻撃については既に知っているな?」
「貴官に命ずる。秘密潜水艦に乗り込み、G3および新型兵器“N式”を、合衆国軍前線基地があるマーシャル諸島テニアン島近海まで輸送せよ。出港は本日1500(ヒトゴーマルマル)」
◆台詞:ヴィヴリオ
「……G3大佐、ヴィヴリオだ。よろしく頼む」
「きみは、ドフトエフスキーの小説『カラマーゾフの兄弟』を読んだことはあるか?」
「(返事に関わらず)カラマーゾフ家の家長フョードルが殺され、その殺人事件の裁判が話の筋だが……きみは『大審問』の前に、次男イワンと三男アリョーシャが交わした会話を覚えているか?」
「(返事に関わらず)そうか……」
◆描写2
 潜水艦の前まで移動する。多くの乗組員たちが忙しく動き回っている。上司から伊藤博士を紹介される。博士は忙しく指示を出しながら、PC4と「左手で」握手をする。左手には緑色の手袋をはめているが、その手の感触は機械のように冷たかった。
◆台詞:伊藤ハル
「(上司が紹介しようとすると)ちょっと待ってください。そこ、それはこっちへ積んで頂戴!」
「失礼。……伊藤ハルです。よろしく」
「(何か会話をしようとすると)忙しいので失礼します。……ああ、それはもっと丁寧に扱いなさい!」
◆結末
 上司がPC4の肩を叩き、シーンは終了する。

●シーン2:フェリー埠頭
◆解説
 PC1のオープニング(他のPCは登場不可)。三笠港のドックで、真田千鶴と逢うシーン。
◆描写
 三笠港のドックは、出港前の準備に追われていた。きみはシュネルギアを潜水艦後部のカーゴに収納するための準備作業をしている。と、潜水艦の脇に大きなアーモンド型をした“モノ”が置かれているのに気づいた。
 そしてその傍らには、一人の少女が立っていた。白いゆったりとした服を着た彼女は、きみの視線に気づくときみに近づいてきた。
◆台詞:真田千鶴
「こんにちは。いいお天気ですね」
「これ、シュネルギアですか? おっきいんですね、はじめて見ました」
「(横にある“モノ”について)これは“N式”。私が載るんですよ」
「(N式の具体的な説明)さあ……詳しいことは知らないんです。でも、凄い兵器らしいですよ」
◆結末
 ある程度会話をしていると、伊藤ハルが来て強引に千鶴を連れて行ってしまう。なお、ハルに声をかけても相手にされない。その後、N式はハルの指示でシュネルギアと同じく後部カーゴに収納された。

●シーン3:OK!
◆解説
 PC2のオープニング(他のPCは登場不可)。潜水艦の中で、アクシアと会話するシーン。
◆描写
 きみが潜水艦に乗ろうとしたとき、アクシアに声をかけられる。大きな荷物を運ぶのが大変だから、手伝ってほしいといわれる。なお、この潜水艦には士官室がいくつかあるが、艦長室を除いて個室はない。そのためG3関係者(PC1、PC2、PC5、アクシア)は一つの部屋で過ごすことになる。
◆台詞:アクシア
「あーPC2、ちょうどいい所へきたー。荷物が重たくってさぁ、ちょっと手伝ってよ」
「(今回の任務について)PC1やPC2、PC5がとりあえず今回私の指揮下に入ったみたいね」
「具体的な任務は……出港するまで秘密、なのよねー」
「ただ、あの“N式”だけは……ちょっとヤバいかも、ね」
◆結末
 「ま、頼りにしてるからねっ」とアクシアに背中を叩かれ、シーンは終了する。

●シーン4:せっせっせ
◆解説
 PC3のオープニング(他のPCは登場不可)。出港準備の最中に、ハルが千鶴を叱り付けているのを目撃する。
◆描写
 出港前の点検作業のため、PC3は船内を一通り巡回していた。と、“N式”の傍らにて伊藤ハルが真田千鶴を叱り付けているのを目撃する。
◆台詞:伊藤ハル
「勝手に出歩いてはいけないとあれほど言っておいたでしょう!」
「あなたは大切な“N式”のトリガーなんですよ、それを自覚しなさい!」
「……両親の仇をとりたいんでしょう?」
◆結末
 ハルが強引に千鶴を連れて行ってしまい、シーンは終了する。

●シーン5:警戒水位
◆解説
 PC5のオープニング(他のPCは登場不可)。出港準備の最中に、千鶴が声をかけてくる。
◆描写
 出港前の準備をしているとき、誰かがPC5の肩をたたく。振り向くと、そこには伊藤ハルが立っていた。
◆台詞:伊藤ハル
「PC5、久しぶりね。機械の調子はどう?」
「あなたがこの船に乗っているなんて、偶然ね」
「いざというときは……頼りにしているからね?」
◆結末
 あくまでPC5の指揮命令権はアクシアにあることを確認して終了。




▼ミドルフェイズ
●シーン1:聖夜
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
 出港直後のシーン。航行を続けていると、進路上に合衆国軍の駆逐艦が現れる。
◆描写
 慌しい出撃から数時間。潜水艦は順調に航海を続けている。と、そのときソナー員が警告を発する。
 敵艦の動きから察するに、敵にはまだ潜水艦が捕捉されてはいないようだ。
◆台詞:ソナー員
「前方に敵駆逐艦のスリクュー音! 数は……3!」
◆結末
 艦長は攻撃するかやりすごすかを判断せよ。
 ただし、どちらにしても緊張が高まることで千鶴が“発作”を起こす。突然大声で叫びだし、暴れ始めるのだ。そのため潜水艦は敵艦に捕捉されてしまう。

●シーン2:春雷
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
 敵駆逐艦×3との戦闘シーンである。駆逐艦のデータは末尾参照。
 なお、シーン2とシーン3は時間軸が同一なので、どちらか片方のシーンにしか登場できないことをプレイヤーに説明すること。
◆描写
 千鶴の叫び声に気づいた敵が潜水艦に迫る。このままやりすごすことは不可能だ。
 潜水したままならば、魚雷しか攻撃方法はない。浮上すれば、機械化兵の戦闘機やシュネルギア等での攻撃が可能となる。
◆台詞:ソナー員
「敵駆逐艦、近づきます!」
◆結末
 駆逐艦3隻を沈めた。しかしこれで、敵のテニアン周辺での警戒態勢もより厳重になるだろう。

●シーン3:百日紅
シーンプレイヤー:PC5(PC5がシーン2に登場していれば、他のPC)
◆解説
 ハルと千鶴の部屋で起きた“叫び声”に対処するため、部屋に踏み込むシーン。
◆描写
 突然の叫び声に駆けつけると、部屋は鍵がかけられ、どんなに呼びかけても開けてくれない。扉を破ると、そこには服が破れ、背中の翼が露になった千鶴とそれを押さえつけるハルがいた。
◆台詞:伊藤ハル
「(扉を開けるように言われて)なんでもないの……だから放っておいて頂戴!」
「(扉を破ったら)……ちっ、PC5! 千鶴を押さえつけるのを手伝いなさい!」
◆結末
 ハルは千鶴に一本の注射を打つ。と、千鶴は体をびくりと震わせたあと、意識を失った。

●シーン4:不器用な花
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 ハルがいなくなった部屋で、千鶴と会話をするシーン。
◆描写
 ハルは報告のため部屋を出ていく。千鶴は翼が邪魔にならないよう、うつ伏せに寝かされている。腕には無数の注射痕がみてとれる。やがて千鶴が目を覚ます。
◆台詞:千鶴
「うー……ん。あ、PC1さん、おはようございます」
「また、やっちゃったですか……。私の天使反応は、凄く不安定らしいのです」
「天使化を防ぐため、伊藤博士は私にお注射をしてくれるのです」
「あの……私のこと、嫌いにならないでくださいね」
◆結末
 千鶴は再び意識が朦朧とし、すっと寝てしまう。

●シーン5:秘密
シーンプレイヤー:PC2(他のPCは登場不可)
◆解説
 アクシアに呼び出され、シュネルギアまたは戦闘機のコクピットにて会話をするシーン。
◆描写
 アクシアはきみを「盗聴防止のため」と誘い、コクピットに潜る。彼女はヴィヴリオからの任務内容を説明する。
◆台詞:アクシア
「大佐からの任務だけどね。表向きは『テニアン島の合衆国前線基地を破壊せよ』なんだけど、実はもうひとつ任務があるの」
「『N式について調査し、万一のときは現場で適切に判断せよ』。それと『伊藤ハルについて調査せよ』」
「ま、頼りにしてるからね」
◆結末
 アクシアはにやりと笑うと、コクピットから出て行った。

●シーン6:サイボーグ・サイボーグ
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
 ハルが、艦長をはじめとする艦の乗組員に説明にくるシーン。
◆描写
 ハルは仏頂面を崩さず、形ばかり詫びる。が、詳細については説明しない。
◆台詞:伊藤ハル
「皆様には大変なご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」
「詳細については、本作戦の機密事項に関係しますので説明することはできません」
「あなた方の任務は……私たちをテニアン島まで輸送することでは?」
◆結末
 ハルは一方的に説明を打ち切り、さっさと自室に帰ってしまう。

●シーン7:こころとからだ
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
 ハルの目を盗んで散歩に出ている千鶴と、会話をするシーン。
◆描写
 千鶴はすでに落ち着きを取り戻している。別の服に着替え、翼は目立たない。千鶴はハルと違い、乗組員に迷惑をかけたことを心から詫びる。
◆台詞:真田千鶴
「あ、副長さんこんにちわです。先ほどはごめんなさいです」
「私、天使なのです。“N式”の起爆装置として、天使化する必要があるんだそうです」
「私がN式の中で天使化すると、それによってさらに大きな爆発が起きる……博士はそういっていました」
「私の両親は、テニアン島でなくなったそうです。だから、両親の仇がとれるなら本望なのです」
◆結末
 千鶴は屈託のない笑顔でそう話すと、伊藤博士にみつからないうちに帰るといい、ぱたぱたと戻っていく。

●シーン8:春
シーンプレイヤー:PC2(PC1、PC5も登場)
◆解説
 アクシアがG3のメンバーを集め、今回の作戦についての意見を求めるシーン。
◆描写
 テニアン島近海に到着した。明朝には作戦が実行できるだろう。
 そのとき、アクシアがG3のメンバーを招集した。そして、今回の作戦の全容と、それに対する意見を求める。
◆台詞:アクシア
「今回の作戦は、新型爆弾“N式”をシュネルギアでテニアン島上空へ運び、爆発させるというものよ」
「大陸でヴリル協会が行った実験のデータをみたことがあるけど……多分、基地どころかテニアン島自体が消失する。それくらいの威力がある爆弾よ」
「そして、その起爆装置は“天使核保有者”……つまり、千鶴ちゃん」
「ヴィヴリオ大佐からは、『万一のときは現場で適切に判断せよ』って命令も受けてるわ。だから、ここで『基地を攻撃しない』って判断をすることも可能」
「……どんな決断をするにせよ、責任はすべて私がとるわ」
◆結末
 ここでの決断により、今後のシナリオが分岐する。
 基地を攻撃するという選択をした場合、ただちにクライマックスフェイズへ移行する。
 攻撃しないという選択をした場合には、次のシーンへ進む。

●シーン9:聖域
シーンプレイヤー:PC5(他のPCも全員登場)
◆解説
 「攻撃しない、作戦は中止」という意思をハルに伝えるシーン。
◆描写
 テニアン近海。ハルは千鶴とともに、“N式”の最終調整を行っていた。なお、PC4の任務はこの時点で達成されていることに注意。そこへアクシアが赴き、「作戦を中止する。G3の指揮権はあくまでも私にある」と告げる。ハルは反論するが、アクシアは頑として作戦中止を譲らない。
 すると突然ハルは、傍らに立っている千鶴の首を、緑色の手袋をはめた左手で掴んだ。白衣の裾からみえる左腕は、機械化されている。そして千鶴に、義手に隠されていた注射器である液体を注射した。この液体は、彼女のアガペーを強制的に上昇させる効果がある。苦しげに呻く千鶴。背中からは白い翼が見て取れる。
 そしてハルは、千鶴をN式に放り込みながらPC5にアクシアを撃つように命じる。
◆台詞:伊藤ハル
「“N式”なくしてヤシマに勝利はないわ! あなたたちは何を考えているの?!」
「(アクシアの意思が変わらないと悟って)そう……しょうがないわね」
「(千鶴をN式に押し込めて)ふふ。これでもう、N式をとめることはできないわ」
「(PC5に)PC5、その女を撃ちなさい!」
◆結末
 狂気に満ちた高笑いを続けるハル。そのとき艦内にソナー手の声が響いた。
 次のシーンへ直ちに移行せよ。

●シーン10:あこがれ
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 テニアン島近海の合衆国軍および天使兵が、潜水艦を発見し攻撃態勢をとるシーン。
◆描写
 ソナー手が、艦前方に多数の敵駆逐艦が集結しているのを発見する。と同時に、艦内には千鶴の聖歌が響く。この歌声により、天使兵も終結してくるだろう。N式は内部から開くことは不可能であり、千鶴は脱出できない。ただし、無線で会話することは可能。
◆台詞:千鶴
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな……」
「PC1さん……私、死にたく……ない……!」
◆結末
 敵天使兵たちに捕捉された以上、このまますんなりヤシマへ帰ることはできない。戦闘が開始される。




▼クライマックスフェイズ
 前記の選択により、シナリオはここから分岐する。
◆N式を使用する場合
 テニアンの基地を攻撃する事になる。天使兵の攻撃をかいくぐり、基地上空で爆発させる事ができれば作戦は成功である。
 この場合、敵データは同一だが、主天使ドミニオンのさらに奥に1つのエンゲージがあり、それを合衆国軍の基地として扱う。シュネルギアがN式を持ってそのエンゲージに入り、基地上空で「爆発させる」と宣言すれば、そのターンの最後に爆発する。この爆発により、テニアン島は基地もろとも跡形もなく消滅する。
 なお、エンディングシーンにおいて、PCたちは三笠港に大量のN式が置かれているのを目撃することになる(もちろん起爆装置はPC1たち天使核保有者だ)。
◆N式を使わない場合
 潜水艦のエンゲージ前方に、「主天使/ドミニオン×1」、「ホイシュレッケ/シュトルム×1」、「ホイシュレッケ/ヤークト×1」、「敵駆逐艦×1」×10、「融合天使潜水艦×1」×5の敵が散開している(なお、括弧でくくった単位ごとに1エンゲージ)。ドミニオンを倒せば、戦闘は終了する。
 今回の特別ルールとして「高度」の概念を導入する。具体的には、「上空」「水面」「水中」の3つのエンゲージがあり、「上空」は「水面」に攻撃できるが「水中」は攻撃できない。「水中」も同様に、「水面」を攻撃できるが「上空」は攻撃できない。なお「水面」は「上空」「水中」ともに攻撃可能となる。天使は「上空」におり、融合潜水艦は「水面」または「水中」にのみ存在する。駆逐艦は「水面」のみ。
 なお、潜水艦からシュネルギア等の発着を行うには、「水面」にいなければならない。
 千鶴のアガペーについては、クライマックスフェイズ終了までに“福音”を発生させれば上昇が抑えられ、爆発しない。

▼兵器データ
ヤシマ軍の潜水艦
能力値
肉体:20 感覚:15 理知:15 HP:100
負傷ゲージ(軽/重/致/死):28/14/7/1
攻撃方法
魚雷発射管×6(誘導兵器)
命中修正:−2 射程:5km
ダメージ:+20 魚雷本数:30本
射撃方式:S
通常移動:100m
全力移動:1000m
(負傷ゲージ:軽)
前部魚雷発射区:4
後部魚雷発射区:2
前部居住区:8
後部居住区:8
士官居住区:6
(負傷ゲージ:重)
機体ハンガー:5
電池室:5
バラストタンク:4
(負傷ゲージ:致)
ディーゼル機関室:4
発令部:3(致命)、1(死亡)

▼敵データ
融合天使潜水艦
肉体:15 感覚:10 理知:18 聖霊:6
HP:50
攻撃方法
 天使光  判定値:13 レベル:4 射程:200m ダメージ:+18
 天使魚雷 判定値:15 レベル:3 射程:3000m ダメージ:+20
回避 判定値:6  レベル:2

駆逐艦(モブ)
肉体:8 感覚:10 理知:14
HP:100
攻撃方法
 127mm二連装高角砲×3 判定値:10 レベル:3 射程:2000m ダメージ:+16
 爆雷 判定値:13 レベル:3 射程:200m ダメージ:+20
回避 判定値:6  レベル:3

ホイシュレッケ/シュトルム
肉体:5 感覚:7 理知:6 聖霊:4
HP:20
攻撃方法
 噛みつき 判定値:10 レベル:4 射程:至近 ダメージ:+10
回避 判定値:7  レベル:3

ホイシュレッケ/ヤークト
肉体:5 感覚:6 理知:7 聖霊:4
HP:20
攻撃方法
 稲妻 判定値:11 レベル:4 射程:300m ダメージ:+9(軽)
回避 判定値:7  レベル:3

主天使/ドミニオン
肉体:30 感覚:20 理知:18 聖霊:15
HP:70
負傷ゲージ:30/15/8/1
攻撃方法
 聖光 判定値:18 レベル:5 射程:2000m ダメージ:+12(軽)




▼エンディングフェイズ
 ドミニオンを倒せば、エンディングフェイズに移行する。GMは各プレイヤーと充分相談の上、各キャラクターのエンディングを演出せよ。
 なお、参考までに各キャラクターのエンディングシーンの例を挙げておく。
PC1:千鶴と会話をするシーン。なお、千鶴はヤシマに帰ったら、G3に編入される。
PC2:アクシアと会話をするシーン。
PC3:艦内を珍しげに眺めて回る千鶴と会話をするシーン。
PC4:ヤシマに帰り、上層部に顛末を報告するシーン。
PC5:監禁されたハルと会話をするシーン。






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